少額訴訟による手続きを利用できる回数は、同一の簡易裁判所に同一年に10回までと定められています。
なぜこのように回数の制限が設けられたかというと、少額訴訟制度が導入される前の簡易裁判所における貸金請求事件において、代理人を立てず、当事者本人が訴訟を行うケースの大半が、サラ金会社やクレジット会社などの業者だったそうです。
このような状況で少額訴訟制度を導入しても、そうしたサラ金会社やクレジット会社が少額訴訟の利用者の大部分を占め、一般の人が制度を利用出来なくなることを防ぐため、このように利用回数に制限が設けられました。
この利用回数制限を確保するため、訴えを起こす際の訴状には少額訴訟の利用回数を記載する欄があり、届け出なければなりません。
もし利用回数を届け出なかった場合は、裁判所が届出を命令し、その命令に対しても届け出なかった場合は、裁判所が通常裁判へ移行する決定を下すことになっています。
また、もし利用回数を偽って届け出た場合には、10万円以下の過料を科せられることになっています。
もちろん、この利用回数も同一の簡易裁判所においての回数ですので、別の簡易裁判所で少額訴訟を起こすのであれば、同一年に10回を超えてもいいことになります。
同一年とは、1月1日から12月31日までです。
尚、利用回数の10回とは、少額訴訟を起こした回数ですので、通常裁判に移行した場合や、訴えを起こしてから取り下げた場合も1回に数えます。