少額訴訟における第一回口頭弁論期日の当日、どのような流れで審理が行われるのでしょうか? 当日に持参するものは、訴状、答弁書、書証(契約書や領収書などの証拠となる書類)の原本、印鑑、筆記用具、身分証、それと口頭弁論期日呼出状などです。
呼出状には、日にちと時間、それと審理が行われる法廷の部屋番号が指定されています。
指定された法廷に入ると、当事者出頭カードが置いてあり、そのカードの所定の欄に出廷した当事者もしくは代理人の氏名を記入します。
指定された時間に、他の事件が指定されていることもあり、法廷には何人もの当事者がいることもあります。
自分の事件が始まる前には、廷吏と呼ばれる人が、事件番号、事件名、当事者の名前を読み上げてくれます。
そして法廷に入りますが、法廷内には、通常の訴訟とは異なり、丸い大きなテーブルが置いてあり、そのテーブルに裁判官、書記官、民間人として裁判官を補助する司法委員、それと当事者である原告と被告が同じテーブルに着席し、審理が開始されます。
手続の教示
冒頭に裁判官より、再度手続の教示が行われます。
証拠調べの制限、被告には通常訴訟へ移行する権利があること、判決に不服の場合は異議の申立ができること、その他手続の流れの説明があります。
陳述
裁判官による手続の教示が終わると、次に各当事者が裁判所に提出している訴状や答弁書をもとにそれぞれが主張する「陳述」が行われます。
実際には、訴状や答弁書の内容をそのまま読み上げるわけではなく、裁判官が訴状、答弁書を陳述しますかと尋ね、それに対し当事者や代理人が陳述しますとこたえるだけとなります。
争点整理
陳述において、訴状、答弁書の内容が完全であればいいのですが、訴状や答弁書の内容に不備があった場合や内容が適切でなかった場合は、それだけで訴訟が終了してしまう場合もありますので、裁判官が当事者に質問し、当事者の主張の不備を補い、主張を明確にしていきます。
証拠調べ
証拠調べでは、当事者が提出した証拠を裁判官が取り調べて、当事者の主張が正しいかどうかの判断をしていきます。
証拠には、契約書や領収書などの「書証」や証人や当事者の証言などの「人証」などがあります。
書証は、予め裁判所にコピーを提出していますが、当日は原本を持参し、コピーと原本が相違ないかどうかを取り調べるため、原本で取り調べを行います。
人証は第三者の証人の証言や当事者の証言になりますが、通常の訴訟手続に比べ、少額訴訟の証人尋問は簡略化されています。
まず証人尋問の申請を行う際も通常訴訟では必要な「尋問事項書」の提出は不要で、証人の尋問前の宣誓も不要です。
また、通常訴訟では証人を呼んだ方が先に主尋問を行いますが、少額訴訟では裁判官が尋問の順序を決めることができます。
和解
判決という形式ではなく、当事者がお互いの話し合いで訴訟が終了する場合を「和解」といいます。
和解は、当事者から和解の申し出をすることもできますし、裁判官が事件の内容や審理の成り行きを見て和解を進める場合もあります。
和解で終了させる場合は「和解調書」という書面を作成しますが、和解調書は判決と同じ効力があり、相手が和解で取り決めた内容に従わない場合は、強制執行を行うこともできます。
判決
口頭弁論期日に和解の話し合いがもたれたものの和解が成立しなかった場合、その内容がもう少し期間を置けば和解が成立しそうであれば、1期日審理の原則はありますが、特別な事情ありということで別の期日で和解の話し合いが再度なされる場合もあります。
反対にこれ以上話し合っても和解が成立しそうにないと裁判官が判断した場合は、判決の言い渡しに移ります。